DTMはDeskTop Musicの略。でもこれは和製英語であり、日本でしか通用しない。英語圏ではComputer MusicとかBedroom Productionと言うそうだ。海外でDTMと言うと、Deutsche Tourenwagen MastersというドイツのカーレースやDoing Too Muchを意味するネットスラングになる。
では、DeskTop Musicとは何か?この記事では、DTMについて全く知らない人(と全く知らなかった数年前の自分)に向けて、DTMの基本的な流れと必需品について書く。始める前にある程度知っておいた方が後々スムーズだと思う。
DTMとは何ぞや
DeskTop Musicには、「デスクトップパソコンで音楽を作れる」という意味が込められている。昔はプロがスタジオで高額な機材を使ってしかできなかったことが、今では自宅でできる。もちろんノートパソコンやスマホを外に持ち出してもできる。DTMの本質は「自分の手で音楽を作ること」だ。
DTMの流れ
DTMは以下のような流れでなされる。
- 作詞・作曲
- 編曲
- 録音・打ち込み
- ミックス・マスタリング
こう見ると簡単そうだが、どの項目も多くの時間と労力が必要だ。これらをすべて一人でするのは"Doing Too Much"かもしれない。楽しいが、決して楽ではない。別記事でそれぞれ説明していく予定。
DTMの必需品
DTMに最低限必要なものはこれら。
- パソコンまたはスマホ
- DAW (Digital Audio Workstation: PCやスマホで音楽制作するための編集ソフト)
- スピーカーまたはヘッドホン・イヤホン
- マイクとオーディオインターフェイス(マイクとパソコンをつなぐ機材。歌や演奏を高音質で録音する場合のみ必要)
これらも別記事で詳しく説明する予定。とりあえず、これらをそろえればDTMを始められる。DAWは無料のものもある。例えばiPhoneにはGarage Bandという無料のDAWがある。Androidだと、使ったことはないがRoland Zenbeatsというアプリなどがある。また、歌や演奏の録音は、スマホやPCマイクでの録音でも不可能ではない。もちろん無料と有料では使い勝手や品質に違いはあるが、いきなり大きな初期投資をするのは怖いという人も気軽に始められる。
DTMの注意点
自分の手で気軽に音楽を作ることを可能にしたDTMだが、だからこそ注意すべきことがある。
DTM沼
DTM大きな初期投資なしで気軽に始められると書いたが、逆にいくらでもお金をかけられてしまうというのもDTMの特徴。「DTM沼」などと呼ばれている。DAWは高くても数万円で済むのだが、他のものがどんどん深みに引き込もうとしてくる。例えば…
- しっかり音が聴こえる良いスピーカーやヘッドホン:数万円~数十万円
- 良い音を手軽に作れるプラグイン(音源・エフェクタソフト):数千円~数万円がたくさん
各メーカーは多くの人に買ってほしいので、甘い言葉で誘惑してくる。それらを紹介するブログやWebサイトでも、アフィリエイト目的で誇張している場合もある。そして、買ってみるとオーバースペックだったり自分の目指す音楽には必要なかったりすることもある。もちろん、時短になったりより良い音が作れたりする優れものがたくさんあるので、そういうものはお金に余裕があれば買った方が良い。でも本当に自分に必要なのかは見極めが必要。このブログではそんな情報も正直に発信したい。
音楽の供給過多
DTMの普及は、音楽の供給過多をもたらしたと思う。「アマチュア音楽」がたくさん増えただけならまだしも(kamoshakehもそうだし、個人的にはそういう音楽もおもしろいので好き)、プロ顔負けの洗練された楽曲が毎日溢れるようにYouTubeやニコニコ動画などに投稿され、ハイクオリティの音楽が当たり前になっている。そしてそういう楽曲の中ですら、注目され有名になるのはごく一部、あとは程度の差こそあれ、埋もれる。DAWや機材の品質が向上し、DTMerやボカロP出身のプロミュージシャンが現れ、DTMerが増えて全体レベルが上がったというのは良いことではあるが、再生数などの数字だけを見ていると厳しい世界だ。
でも、だからDTMをやめようとは言わない。むしろ、DTMを楽しもうと言いたい。自分の作りたい音楽を作れる、というのは楽しく幸せなことだ。評価されるかどうかは、運だ。もちろん、クオリティを向上するための努力はすべきだ。その方が作って楽しく、聴いて気持ち良い。しかし、「他人から評価されること」だけがDTMの目的になると、つらい。ほとんどの人が評価されず、また評価を求めて流行に流されたつまらない音楽が増えてしまう。それより、評価されなくても自分が作りたい音楽を作り、自分から溢れてくる詩と曲を発信する方が楽しいし、聴く方もおもしろい。自分の音楽が誰かの心に届けば嬉しいし、そう願うのは自然なことだが、そうならないかもしれない。少なくとも自分の心に届けばいい。そのくらい気楽に考えて、評価されない言い訳にしたっていいじゃないかと思う。
おわりに
DTMはおもしろい。DTMは多くの人が自分の手で音楽を作って発信することを可能にした。ほとんどのDTMerはアマチュアで、音楽だけでは生活できない。でも音楽制作を楽しんでいる。音楽で自分を表現し、訴え、叩きつける。そういう人たちから、おもしろい音楽が生まれてくる。そんなDTMerを応援したいし、自分もその姿勢を持ち続けたい。
このブログでは、DTMのおもしろさについて書きたいと思っている。既に多くのブログやWebサイト、YouTubeチャンネル、書籍がDTMについての有益な情報を発信している。日本語の情報も多い。もちろんそれらは助けになったし今も参考にしているが、ただ真似してもうまくいかない。音楽が芸術である限り、DTMも芸術だ。理論だけではなく、感覚が重要なことが多々ある。だからDTMは難しくておもしろい。このブログがDTM試行錯誤の記録として、誰かの役に立てたら嬉しい。ついでにkamoshakeh作品を視聴してもらえたらもっと嬉しい。
ついでにYoutubeチャンネルの宣伝↓
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