マイクは、録音系DTMerがオーディオインターフェイスと同時に購入を検討するアイテムだ。歌やアコースティック楽器を宅録するには欠かせない。でも、マイクも上を見ればキリがなく、どのクラスのものを買えば十分なのか悩む。最初からがんばって良いものを買うべきか、安く始めるべきか…。1万円前後で十分使えるコスパの良いマイクもいくつかあり、多くのWebサイトで紹介されている。しかし、kamoshakehはそれらコスパ最強とされるマイクすら持っていない。なぜなら、もっと安い「JTS PDM-57」を使っているからだ。物価上昇が激しい今日でも2千円台をキープしている。
この記事では、激安マイク「JTS PDM-57」を敢えておすすめしたい。おそらく安すぎて(あと某有名マイクの模倣品なので)マイナスイメージがあり敬遠されているマイクだが、リスペクト元に引けを取らない、普通に使える音が録れると思う。
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JTS PDM-57とは何ぞや
↓商品リンク ※楽天は中古しかないのでリンク切れがあるかも。やはりサウンドハウスが安い。
JTSは、Webサイトを見るとドイツのMonacor Internationalという会社のマイク系ブランド名らしい:JTS: PDM-57。PDM-57はその中で「エレキギター用マイク」に区分されている。
Shure SM57とソックリ
PDM-57と聞いて、ShureのSM57というマイクを連想する音楽経験者は多いはず。
見た目はソックリ。名前もソックリ。「楽器用ダイナミックマイク」という位置づけも同じ。意識してないはずがない。
「楽器用」
PDM-57は「楽器用マイク」とされる。ボーカル用との違いは、
- ポップフィルター(「パピプペポ」などの破裂音の耳障りな成分を抑えるフィルター)が内蔵されていない
- その分マイクに近づけるので、強い近接効果(近づくほど低音が強調される現象)を得られる
- グリル(口を近づける部分)の設計が違うので、周波数特性が異なる。Shure SM57の場合だと、5kHz以上の出力がボーカル用のSM58より高くなる
楽器用がボーカルに使えないということはなく、むしろその特性を利用して敢えてボーカルに使うこともあるらしい。
詳しくはこちらShure公式サイトで:SM58 と SM57 の違いとは!?
kamoshakehもボーカル・ギター・パーカッションと何にでもPDM-57を使っている。確かに破裂音や呼吸音は気になるが、こちらのウィンドスクリーンを追加することで解決した。サウンドハウスでしか売っていないが、サイズもピッタリで180円。おすすめ。
「ダイナミックマイク」
PDM-57はダイナミックマイク。メジャーなマイクの種類として他に「コンデンサーマイク」があり、それぞれ以下の特徴がある:
- ダイナミックマイク:感度が低い、衝撃・湿気・ハウリングに強い、ファンタム電源不要
- コンデンサーマイク:感度が高い、衝撃・湿気・ハウリングに弱い、ファンタム電源必要
以下でもう少し詳しく知りたい方はこちらのページが参考になる:コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違い、使い方を演奏音源付きで解説 | 弾き語りすとLABO
上記サイトでは、「コンデンサーマイクは感度が高すぎて環境音をいっぱい拾ってしまうから宅録には不向き」という説が言い過ぎであることを実証している。比較音源を聴いてみると、確かにコンデンサーマイクの方がノイズが大きいが、そこまで大きな違いはなく、コンデンサーマイクでも十分に使える。むしろ感度が高い分、コンデンサーマイクの方が基本的に良い音が録れる。じゃあPDM-57は不要ではないかと言われるかもしれないが、PDM-57には独自の良さがあるので、これからそのことを説明したい。
2千円台でホルダーとケーブルも付属
まずPDM-57最大の特徴は、その圧倒的な安さ。2千円台で買えて、さらにマイクホルダーと5mケーブル(XLRキャノン)も付属する(マイクスタンドは別途購入が必要)。この値段で買えるマイクは他にはオモチャみたいなやつしかないと思う。だからPDM-57もオモチャだと疑われるのだが、そんなことはない。以下の音源を聴いてもらえたら分かると思う。
ちなみにマイクスタンド(またはデスクアーム)は楽器録音時に必須なのでマイクと合わせて買うべし。
PDM-57参考音源
SM57との比較
SM57との比較。アコギのパートはなぜかSM57の最後の部分からPDM-57の全体で不自然に音がこもっていて比較にならないが、ドラムを比較する限り、PDM-57はSM57に引けを取らず、むしろ2番目のタムはPDM-57の方が響きを良く録れているのではとすら感じる。
こちらはアコギの比較。この人は周波数特性を分析してSM57の方が良いと結論づけているようだが、聴いただけではどちらが良いか分からない。SM57とPDM-57は「同等品」と言ってしまっても良いのではないだろうか。価格差は5倍なので、PDM-57のコスパは驚異的だ。
SM57とコンデンサーマイクの比較
定番マイク SHURE SM57をボーカル・アコギで使用した結果をレビューする | 弾き語りすとLABO
上記リンクのページ下の方に、SM57とコンデンサーマイク「audio technica AT2020」との比較音源がある。SM57も決して使えない音ではないが、AT2020が良すぎる。AT2020と比べるとSM57は高音のザラツキが目立ち、抜けが悪くこもった感じになる。PDM-57も同様だと思う。ただ、著者が結論付けている通り、SM57(およびPDM-57)はサブマイクとして音に立体感を出すのに役立つ。ということで、アコギやボーカルを録音するメインマイクとしては、AT2020をおすすめする。1万円ちょっとで買えるコンデンサーマイクとしては非常に高音質と名高い。マイクスタンド(またはデスクアーム)、ショックマウント、ポップガードを組み合わせるのがノイズ軽減と保護のためにおすすめ。欲しい。
PDM-57を使用した楽曲
自分の作品。1:25あたりからのギターとコーラスの録音に使用。ギターはEpiphone Casinoという空洞があるエレキギターを使っているため、シールド入力+マイク録音という組み合わせにして、マイクで録った音は高音のピッキング成分を補強して深みを出すために使った。この音源はミックスが雑だったりするのであれだが、メイン楽器じゃなければPDM-57の音も十分に使えると思う。むしろ、ほどほどに目立たない音になるのでサブ向きとも言える。
まとめ
PDM-57の特徴はこんな感じ。
- 2千円台でホルダーとケーブルも付属する圧倒的な安さ
- 定番マイクSM57に引けを取らない音質
- コンデンサーマイクのサブとしても活躍
とにかく安くて使えるマイクを探している人、サブマイクで音を補強したい人にとって、PDM-57は有力な選択肢だ。もう一度商品リンクを貼っておくので、ぜひ。
⇒DTM機材まとめ記事:DTM必需品・おすすめ機材まとめ ~ kamoshakeh music
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